2009年 03月 04日
今日は終日市川の客先で打ち合わせ。シャッターは切りませんでした。 先日予告しておきながらアップしていなかったレンズの写真。たいしたものは撮れなかったのでお目汚しですが、ご寛容あれ。 (M8, Biogon 28mm T* G-mount) Contax G 用の Biogon 28mm をライカ・マウントに改造したものです。 このレンズは、G1、G2 で使っていて、写りの良さに感心していたものなのですが、こうやって M8 で撮ってみると、また印象が違います。古めの Elmarit 28mm などにも通じるような、きちっと解像しているけれど軟らかさもある写り。フィルムでは、解像力の高さが印象的だったので、ちょっと意外でした。ZMマウントのものとも、違った個性がある感じです。 話変わって、毎日jp に、村上春樹の「エルサレム賞」授賞式でのスピーチの全文訳が載ってました。英語のオリジナルはイスラエルの新聞記事で読んでいましたが、いろいろニュアンスの異なるところが多い訳ですね。特に、スピーチの肝になっている「The System」 が 「体制(ザ・システム)」と訳されているのには閉口。 村上春樹の読者ならば、「The System」は、政治的意味合いはほとんどなく、より広くて深い意味合いを持ったものと受け取ると思うのですが。たぶん、この翻訳をした記者の方は、村上作品をほとんど読んでいないのだろうと推察されます。こうして、間違ったことが伝わっていく・・・。 ところで、このフレーズ 「たとえ壁が正しく、卵が間違っていても、私は卵の側に立ちます。何が正しく何が誤りかということは、第三者が決めるべきことです。時間や歴史が決めてくれることもあるでしょう。しかし、どんな理由でも、壁の側に立って書く作家がいるとすれば、その作品にいかほどの価値があるのでしょう。」 「私が小説を書く理由はたった一つ、一人一人の魂の尊厳を表に引き出し、光を当てることです。物語の目的は、「システム」が私たちの魂をわなにかけ、おとしめることがないよう、警鐘を鳴らしたり、「システム」に光を当て続けることです。作家の仕事は、物語(生と死の物語や愛の物語、読み手を泣かせ、恐怖でおののかせ、大笑いさせる物語)を書くことによって、一人一人の魂の独自性を明らかにする努力を続けることだと信じています。」 実に作家らしいなあ、と感銘を受けたのですが、全く逆のやり方を自分の作法とした人気作家がいましたね。 曰く 「某という人物その人生というものは、その某の人生が完結したあと、時間がたてばたつほど、私にとって好材料になるようである。時間が経たねば、俯瞰ができない。俯瞰、上から見おろす。そういう角度が、私という作家には適している。」
by kv492
| 2009-03-04 23:55
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