Monochrome Passage

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2010年 08月 08日

老人と花火

The eldery and fireworks
(Leica X1)

母がお世話になっている病院の納涼祭のひとこまです。
母は認知症で、低速ながら話が飛翔しまくる(^。^)のですが、いろいろ会話しながら、話題に
なっている行方不明の老人の問題(?)のことも、思いを巡らせていました。

話題になり始めた時、1億以上も人のいる国なんだから、2桁や3桁の数の失踪老人がいても
不思議なことではないと思いました。住民登録は定住者が基本で、申請ベースですから、もと
もと、非定住な人は把握できないし抜けがあって当然の制度でしょう。完璧に把握できている
国家なんて、例えばオーウェルが「1984年」で描いたディストピアみたいなものです。
「事件」として書き立てるメディアやタレント評論家、市井の評論家(ブロガーとも言う^0^)
さん達は、要するに行政の失態をあげつらい、年金を払い続けたことを税金の無駄遣いと
非難したいだけなんだろうなと思います。
ディストピアにならずにいられるのだから、このくらいの無駄いいじゃん。金融グローバリゼー
ションのお題で、倒産寸前の金融機関を救うのに投下された税金と比べたらたかが知れている
し、と思ったりもします。

家族が、亡くなったのを届けていなかったケースもあるようですが、これも一考必要と思います。
自分の家族が亡くなった場合、届け出る義務が法的にはあるのでしょうが、これが結構大変な
作業です。父が亡くなった時、私が母の肩代わりで全部やりましたが、役所への死亡届(これは
一番楽)から始まり、相続やら、年金、保険やら手続きがあり、さらに親類・縁者、近隣への
お知らせやあいさつ。かつて勤務していた企業や関連していた組織への諸々雑事。さらに当然
ながら法事。10日とちょっと仕事を休んでやっと片付いたボリュームです。
これを、70歳台後半以上の人にも義務とすることがすでに酷だろうと思います。ましてや、
身体に多少でも不自由なところがあり、役所に出向くための交通機関が不便(または車しかない)
とあっては、なおさらです。一昨年、叔母が亡くなった時、夫である78歳の叔父は、子供達の
多くの協力を得ながらやりましたが、四十九日がすんでからすぐ過労でダウン、入院しました。

メタボや禁煙推進で高名な「健康増進法」では、健康であることが「国民の義務」とされて
います。年とれば、あちこちガタがきたり病んだりするのは自然の成り行きというのに、
安心して病気にもなれないんですね、いやはや(^0^)。
どうも、法律からも、この国は老人を社会から締め出そうとする動きをしているようです。
ナチス・ドイツと一緒ですね。
老人に敬意を、というような耳障りの良い心根レベルのスローガンでは、この流れは変わら
ないでしょう。

私から母に言えたのは、「ばあちゃん、花火だよ。俺が子供の頃一緒にやったよね。」

by kv492 | 2010-08-08 13:03 | 街撮り-群馬


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