Monochrome Passage

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2013年 03月 04日

名女流ヴァイオリニストたち 4 - ワンダ・ウィウコミルスカ

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グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ No.3
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ
Antonio Barbosa (p) 1971 Connoisseur Society原盤

ワンダ・ウィウコミルスカ(Wanda Wiłkomirska 1929- ) は、ポーランド出身のヴァイオリニストです。
第二次大戦後の復興が遅かったため、本格的に活動を始めたのが50年代の半ばで、80年代初めまで
活発に演奏活動していました。その時期には来日しませんでしたので、残念ながら実演は聴けていません。

ポーランド出身のヴァイオリニストというと、シモン・ゴールドベルクやヘンリック・シェリングが有名ですが、
三人とも、ヴィブラートが控えめで、すっきりとした弾き方をします。それでいて、ぴんと張りつめた緊張感や
芯の強い叙情性があり、ふつふつと情感が湧き出てきます。歌っていないようでよく歌っている、それが
ウィウコミルスカの個性かと思います。



こういう、ふつうは情緒纏綿と弾かれるものでも、聴き応えがあります。この芸当は、名匠ゴールドベルク
ですらなかなかできないでしょうね。

また、ウィウコミルスカは、ペンデレツキを初め、ポーランドの現代音楽を積極的に紹介していますし、
上に掲げたグリーグのソナタやディーリアスのソナタのような、ほとんど聴けることのないものを取り上げ、
へー、こんないい曲あるんだーと感じさせる快演を聴かせてくれます。
ヨーロッパの最良の知と情と意を併せ持った人なんだろうなあと思います。
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まだ存命ですので、もう実演は聴けないでしょうが、幸福な天寿を全うしてほしいですね。

by kv492 | 2013-03-04 23:55 | 音楽/映画/演劇


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