Monochrome Passage

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2010年 03月 02日

私の愛聴盤 フィガロの結婚(メト・ライブ盤)

私の愛聴盤 フィガロの結婚(メト・ライブ盤)_a0062758_23323483.jpg

昨日アップしようと思っていたのですが、一日遅れで恐縮です。
私のハンドル名は、クラシック音楽を聴かれる方でしたらご存知のとおり、モーツァルトの
オペラ「フィガロの結婚」のKV番号です。
録音で聞いた最初がなんであったかは覚えていませんが、小学生の頃、NHK-FMの放送で聴いて
以来、放送、ディスク問わず、かたっぱしから聴いてきました。また、実演では、西武劇場での上演
(パルコ・オペラ)以来、3桁台の回数の公演を観てきましたから、まあ、愛聴の曲と言っても
いいかなと思っています。

このオペラですが、よく言われることですが、実演、放送を問わず、これといった決定打が
ありません。音楽的には、イタリア・オペラの血筋の世界音楽なのですが、作曲者モーツァルトが
ゲルマン人だからと妙にドイツっぽく演奏されるのも一因していると思います。
とはいえ、手元にあるディスク、テープの中で、一番理想に近いかなと思うのがこれです。
主なメンバーは
 コンテ・アルマヴィーヴァ:ジュゼッペ・ヴァルデンゴ
 コンテッサ・アルマヴィーヴァ:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス
 スザンナ:ナディーヌ・コナー
 フィガロ:チェーザレ・シェピ
 メトロポリタン歌劇場オーケストラ&コーラス
 指揮:フリッツ・ライナー
1952/3/1 メトロポリタン歌劇場でのライブです。
主役4人は、コナーが多少知られていないかも知れませんが、オペラ・ファンであればはずせない
名歌手揃いです。活きのいい見事な歌とアンサンブルを聴かせています。
それに加えて、ライナーの棒。歌手の息づかいに敏感に反応しながらも、音楽による劇を自在に
操っています。特にテンポの設定とリズムの扱いが出色で、この曲の持つ、音楽だけで劇を構築
していく推進力や生命力、ドラマの抑揚がよく表出されています。
歌手もオーケストラも、アーティキュレーションは、20世紀の前半だなと感じられるところは
ありますが、音楽全体は自然な息づかいで演奏されていて、1960~70年代頃の演奏より
ずっとモダンで新鮮に聞こえます。
ラジオ放送のエアチェックと思われる音源ですので、音質は良くありませんが、顔ぶれの豪華さ
からも貴重な録音ですので、「フィガロの結婚」のお好きな方には、一聴されることをおすすめ
します。
ところで、ナディーヌ・コナーのバイオグラフィを見直していたら、亡くなったのが、3月1日
でした。奇遇なことに。





ヴァルデンゴは、トリノ生まれで、主にアメリカ(サンフランシスコ、メトロポリタン)の歌劇場
で活躍した名バリトンです。代表的な持ち役は、ドン・ジョヴァンニや、イァーゴ、ファルスタッフ
等のヴェルディ・バリトン。特に、トスカニーニ指揮でのファルスタッフは出色の名唱です。
チェーザレ・シェピは、エツィオ・ピンツァと並んで、20世紀を代表するイタリア・オペラの
名バス。ドン・ジョヴァンニも得意役。
ナディーヌ・コナーは、アメリカ出身のリリック・ソプラノ。レパートリーは広く、マルガレーテ
やミミなどのリリコからコロラトゥーラまでこなしたそうです。正規録音は、歌手としてのピークを
過ぎてからブルーノ・ワルターと共演したものくらいしか残されていませんが、ジェシー・ノーマン
の良き先輩といったところでしょうか。
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスは言うまでもないでしょう。晩年の日本公演で、ギター弾き
語りで聴かせた歌や、バルセロナ・オリンピックでの「鳥の歌」には号涙してしまいました。

by kv492 | 2010-03-02 23:28 | 音楽/映画/演劇


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